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大学駅伝この1冊でまるわかり
全日本大学駅伝50回記念

大学駅伝この1冊でまるわかり
著者
出版社 朝日新聞出版
出版年月 2018年10月
税抜価格 1,296円
入手場所 古本屋
書評掲載 2023年2月
★★★★☆

 大学駅伝といえば、箱根駅伝を思い浮かべる人が多いのだが、実は箱根が関東エリアのローカル大会に過ぎず、全日本大学駅伝こそ、全国規模の大会である事実は、意外と知られていない。
 大会前に続々と出版される雑誌やムックも、箱根をテーマにしたものばかりで、出雲や全日本はまるで前哨戦と言わんばかりの軽い扱いに対し、多くの陸上競技ファンは違和感を覚えているに違いない。

 歴史ある全日本大学駅伝が50回の節目を迎えるにあたり、同大会を主催する新聞社が出版した本書は、馴染みのある関東の大学だけではなく、福岡大や京産大など、関東以外の大学が躍進した過去の大会を振り返ったり、難関国立大学として知られる東北大に通う選手らの一日に密着してみたりと、関東一辺倒の大学駅伝界にあって、ファンの視野を広げてくれる興味深いテーマを数多く紹介してくれる。

 とりわけ、プロの新聞記者が描写する「記者コラム」は駅伝愛に満ちていて、どの回も夢中になってしまう。
 たとえば、「関西勢の矜持」と題された第4回目では、かつて全日本で京産大が席巻していた時代を振り返りながら、何事も東京一極集中が進むなか、関東以外の大学が優勝争いにからむのはますます難しくなっている。それでも全日本を3度制した福岡大など関東勢の牙城を崩した先人たちがいたことを、ほかの地域の大学は覚えておいてほしいし、挑む気持ちも忘れないでほしい(P100)と関西に根差して駅伝とともに青春時代を過ごしたという記者は、エールを送ってくれる。

 たしかに現在は関東勢が圧倒的な存在感を示していて、本書も東洋大・酒井俊幸と駒大・大八木弘明との対談を特集するなど、関東勢中心の記事になっていることは否めないものの、第1回大会から続く貴重な記録集や新聞記事を掲載するなど、駅伝マニアには垂涎のデータを惜しみなく掲載してくれる(わが母校が第1回大会(1969年)に出場した公式記録を初めて確認できた!)。
 一方で個人的には、かつて2000年大会の1区で、関東勢を涼しい顔で置き去りにする異次元の独走劇を見せた永田宏一郎(鹿屋体大)こそ、全日本大学駅伝の歴史に燦然と輝き、そして記憶に残るスター選手だっただけに、さらりと触れるだけにとどまらず、ぜひとも特集記事が欲しかった。

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