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走れ、藤村

走れ、藤村
著者 藤村信子
出版社 長征社
出版年月 1999年11月
価格 \1,800
入手場所 ブックオフ
書評掲載 2001年3月
★★☆☆☆

 女子マラソン・元日本最高記録保持者で、現在は一線を退いているダイハツの藤村信子選手の競技人生を綴った自伝。
 同期入社の浅利選手や、後輩の小鴨選手の陰に隠れ、華やかな成績といえば、1996年の東京国際女子マラソンでの優勝がかすかな記憶に残っている程度。

 内容としても、終始淡々とした書き方で、始めのうちは「これはつまらなそうだ」と思って読み進めていたが、徐々に彼女の子どものように無邪気な性格がにじみ出てきて、童心に返った思いで読ませてもらった。
 過呼吸になっているのに酸素を吸引させた監督や、クロカンでコケたり、高地トレーニング中に迷子になって泣き出すなど、マラソンで見せる強さからは想像もできないエピソードがいくつも登場する。

 ただ、唯一笑えなかったのは“生理”に関するエピソード。
 実業団一年目で「身体が引き締まってきて、やがて生理が止まった」という一行に血の気が引く感覚を覚えた。
 一般的にはなんとなくタブーとされている感のあるこのエピソードは、その後も何回か登場するが、まさに人間の生理現象さえもランナーにとっては“敵”となってしまう、女子マラソン界の厳しさと悲哀を感じた。

 値段の高さがかなり気になったのが残念。旅費をかけて取材を繰り返すノンフィクションではないのだから、もう少し価格を抑えてほしい。

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