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ららのいた夏

ららのいた夏
著者
出版社 集英社文庫
出版年月 2002年1月
価格 \700
入手場所 紀伊国屋書店
書評掲載 2003年11月
★★★☆☆

 キュートで、明るく、天真爛漫。いつもニコニコ笑顔を絶やさず、みんなの人気者。と、ここまでならどこにでもいそうな普通の女の子だけれど、ららはちょっと“普通の女の子”とは違っていた。

 走ることが何よりも好きなららは、ちょっと本気を出せば、世界記録も塗り変えてしまうスーパーウーマン。
 甲子園を目指す純也との出会いから始まり、シンデレラロードを一気に駆け上がっていくストーリーは、あまりに現実離れしすぎていて、やや白々しくも感じてしまう。
 「(次はどうなるんだろう)」といったドキドキ感は少なく、起伏のない一本道を独走しているような印象を受ける。
 やさしい書き方で、ストーリーも分かり易いので、中学生ぐらいにはちょうどいいかもしれないけれど、「(結局スポーツって才能なんだね)」って思われそうなことが、いささか心配ではある。

 さわやかな恋愛小説で、ラストがうまく締められているので、読後感はまずまず。
 「(こんな子いないよ)」と思いつつも、結構引き込まれて読んでしまう。ちょっと不思議な感覚にとらわれてしまう一冊です。

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