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走れ、ヒョンジン!

走れヒョンジン
著者 著:パク・ミギョン
訳:蓮池薫
出版社 ランダムハウス
講談社
出版年月 2005年7月
価格 \1,400
入手場所 市立図書館
書評掲載 2005年8月
★★★☆☆

 自閉症という先天的な発達障害を負った息子、ペ・ヒョンジンを、一人前に育ててやると奮闘する、母親である著者の視点から綴ったノンフィクション作品。

 相思相愛の夫婦にとって、待望の第1子として生を受けたヒョンジンだったが、ひとつのことに異常な執着を見せるなど、なにか普通の子と違う様子が感じられた。母は不安な気持ちで病院を訪ね、そこで下された「自閉症」という聞き慣れぬ「障害」。
 治療法を探る母に対して、医師が添付した“処方箋”は、「たくさんの経験をさせること」だった。

 ひとつの単語を覚えさせるだけでも、何度も反復させなければならず、言うことも聞いてくれない。そんな飽きっぽいヒョンジンに、まずはなにかに興味を持たせながら集中力を養おうと、縄跳び、バドミントンや登山を取り入れていく。
 はじめは不器用だった動作も、ゆっくりではあるが徐々に技術を体得し、身体を動かすことの喜びに気付いていくヒョンジン。そしてある日、登山から笑顔で帰ってきたヒョンジンを見て、母はふとマラソンをさせてみようと思いついてしまった。

 10km、ハーフと徐々に距離を伸ばしながら、初マラソンでなんとサブスリーを達成。このニュースは、ゴールで見守った母だけでなく、韓国中の自閉症の子を持つ親にも勇気を与えるものだった。
 その後ヒョンジンはトライアスロンにも挑戦し、15時間余りをかけて見事に完走を成し遂げている。

 ストーリーが山あり谷ありで、ラストもうまくまとめているので、うっかりすると小説を読んでいるかの如く錯覚をしてしまう。そして読み終えた後に、ふとこれは実話であることを思い出し、切ない感情がこみ上げてくる。
 陸上競技とはやや離れた趣旨のテーマですが、一マラソンファンとして、応援したいランナーがまたひとり増えた気がします。

※ 本書をもとにしたフィクションである、映画「マラソン」が2005年に公開されました。映画「マラソン」のノベライズ版も幻冬舎文庫より出版されています。

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